Column コラム

歯科のフッ素塗布でむし歯予防!効果を高めるための3つのポイント

むし歯は、子どもだけでなく大人にとっても身近な病気の一つです。
歯磨きをしていても、「いつの間にかむし歯ができていた」という経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

むし歯の原因として、歯磨き不足は大きな要因の一つです。歯の表面に歯垢が長く残ることで、むし歯菌が酸を作り出し、歯が溶けやすくなります。

しかし、むし歯は歯磨き不足だけで起こるものではありません。歯の質、唾液の量、食習慣、口の中の細菌の状態など、複数の要因が重なって進行することが知られています。

そのため、歯の表面を清潔に保つことに加えて、歯そのものを酸に強い状態に整えることも、むし歯予防では重要な考え方とされています。
その予防方法として、歯科で広く行われているのが「フッ素塗布」です。フッ素は歯の表面に作用し、歯の質を強化する働きがあります。

そこで今回は、フッ素塗布がどのようにむし歯予防に役立つのか、その仕組みと、効果を高めるためのポイントを紹介します。

院長

元山 裕太郎 院長


経歴
筑波大学附属高等学校 卒業
国立 東京医科歯科大学歯学部歯学科 卒業
東京医科歯科大学 歯学部附属病院 研修医 勤務
東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 う蝕制御学分野 所属
(東京医科歯科大学 歯学部附属病院 むし歯外来) 勤務
医療法人悠和会 麻布十番歯科オーラルケア 勤務
つづき歯科クリニックたまプラーザ(訪問歯科診療部) 勤務
医療法人高歯会 東歯科医院 勤務
医療法人誠慎会 峯歯科広尾商店街 勤務
現在に至る

医院名:都立大学ブラン歯科クリニック
所在地: 〒 152-0032
東京都目黒区平町1丁目25-14 右山ビル1F

フッ素塗布の効果を高める3つのポイント



🟨ポイント1 定期的にフッ素塗布を受ける
🟨ポイント2 フッ化物入り歯磨き剤を使用する
🟨ポイント3 定期的に歯科検診を受ける

これらを意識して予防ケアを行うことで、むし歯になりにくい環境を整え、歯の健康を長く保つことにつながります。

歯科のフッ素塗布で、乳幼児のむし歯の発生が半数に減少

歯科で行う「フッ素塗布(フッ化物歯面塗布)」は、歯の表面にフッ化物を作用させることで、歯質を強化し、むし歯の発生を抑える予防処置です。
フッ化物歯面塗布を定期的に継続して行った場合、乳歯ではむし歯の発生をほぼ半分に減少させたことが、厚生労働省の健康サポートサイトで紹介されています。
また、永久歯に対する予防効果でも20~30%程度に及ぶという報告も多いのです。
この「ほぼ半分に減少」という数字は、単にむし歯が半分になるという意味以上の重要性があります。
むし歯は、一度できると歯を削る治療が必要になることが多く、削った歯は元の状態には戻りません。

そのため、むし歯の発生を減らすことは、歯の寿命を守ることにつながる重要な予防効果といえます。

また、永久歯でも20~30%の予防効果があるとされており、子どもだけでなく、長期的な歯の健康管理の観点からも意味のある予防処置といえるでしょう。

参照:厚生労働省|健康日本21アクション支援システム~健康づくりサポートネット~「フッ化物歯面塗布」 >

フッ素とは?~歯を守る働きをもつ自然界のミネラル~

フッ素(フッ化物)は、自然界に広く存在するミネラルの一つで、土壌や海水、食品、水道水などにも微量に含まれており、私たちの生活の中に身近に存在しています。

歯科で使用されるフッ素は、このフッ化物の働きを利用して歯をむし歯から守るために活用されています。
フッ化物は、歯の表面のエナメル質に作用し、酸に溶けにくい状態へと変化させる働きがあるのが特徴です。

また、歯の表面から溶け出したカルシウムやリンが再び歯に戻る「再石灰化」を促進することで、初期のむし歯の進行を抑える作用もあります。
さらに、むし歯の原因となる細菌の働きを弱め、酸の産生を抑える作用も報告されています。

このようにフッ素は、歯を強くするだけでなく、歯の修復を助け、むし歯菌の働きを抑えるという複数の働きによって、むし歯予防に役立つ成分とされています。

参照:厚生労働省|健康日本21アクション支援システム~健康づくりサポートネット~「フッ化物利用」 >

再石灰化を促し、むし歯に強い歯をつくる

むし歯は、お口の中の細菌が糖を分解して作り出す酸によって歯の表面が溶けることで始まります。この現象は「脱灰」と呼ばれる状態です。
通常、歯は唾液の働きによって修復される力を持っています。唾液中のカルシウムやリンが歯に戻ることで、歯の表面は修復されます。これを「再石灰化」といいます。
フッ素は、この再石灰化を助けるとともに、歯の結晶構造そのものに作用し、酸に溶けにくい性質へと変化させる働きがあるのです。

再石灰化のメリット

・歯を酸に溶けにくい状態にする

フッ素が歯の表面に取り込まれることで、エナメル質の耐酸性が高まり、むし歯菌が作る酸の影響を受けにくくなります。

・溶けかけた歯の修復を助ける

フッ素は再石灰化を促進し、歯の表面の修復を助けます。これにより、むし歯の進行を抑える働きがあります。

・むし歯菌の働きを弱める

フッ素には、むし歯菌の酸の産生を抑える作用があることも示されています。
このように、フッ素は歯の表面を守るだけでなく、歯の修復とむし歯の進行抑制に関わる働きを持っています。

生えたばかりの歯は、フッ素の効果を取り込みやすい

永久歯は、一般的に6歳ごろから生え始め、12〜13歳ごろまでにほぼ生えそろいます。
けれども、永久歯は、生えた時点で完全に成熟しているわけではありません。

歯が生えてから数年間は、唾液中のミネラルを取り込みながら徐々に硬くなり、むし歯に対する抵抗力を高めていきます。この期間の歯は、まだ構造が未成熟であり、酸の影響を受けやすい状態にあります。
生えた直後の歯はフッ化物を取り込みやすく、歯質の強化に効果的であるとされています。
このため、歯が生えたばかりの時期にフッ素塗布を行うことは、歯の成熟を助け、むし歯に対する抵抗力を高めるうえで重要な予防処置とされているのです。

大人のむし歯予防にも役立つ「フッ素塗布」

フッ素塗布というと子どもの予防という印象を持たれることがありますが、永久歯が生えそろった後の大人にとっても重要な予防方法です。
大人の場合、歯ぐきが下がることで歯の根の部分が露出することがあります。
この部分は「象牙質」と呼ばれ、歯の表面を覆うエナメル質よりも酸に弱く、むし歯になりやすい特徴があります。

フッ化物は子どもだけでなく、大人の方のむし歯予防にも有効とされているのです。

特に大人では、加齢による歯ぐきの変化、唾液分泌量の減少、治療した歯の周囲の再むし歯といった理由から、むし歯リスクが高まることがあります。
フッ素塗布によって歯の表面を強化することは、こうした大人のむし歯予防にも意味のある予防処置とされています。

フッ素塗布と歯磨きを組み合わせて予防効果アップ

歯科で行うフッ素塗布は効果的な予防方法ですが、その効果を維持するためには日常のセルフケアが重要になります。
その中心となるのが、「フッ化物配合歯磨き剤」の使用です。

フッ化物配合歯磨き剤を適切に使用することで、むし歯の発生がおおむね24%減少することが、世界各国の数多くの研究で明らかになっています。
歯磨き剤に含まれるフッ素は、歯磨き後も歯の表面に残り、再石灰化を促進する働きを続けます。
そのため、毎日の使用によって歯の耐酸性を維持することができます。

また、国内では現在、年齢に応じたフッ素濃度の使用が推奨されています。

フッ化物配合歯磨き剤の年齢別の使用量と濃度の目安

年齢フッ化物濃度の目安使用量の目安
歯が生えてから2歳900~1000ppmF米粒程度(1~2mm程度)
3〜5歳900~1000ppmFグリーンピース程度(約5mm)
6歳〜成人・シニア世代1400~1500ppmF歯ブラシ全体程度(約1.5~2cm)

フッ化物配合歯磨き剤は、年齢に応じて適切な濃度と使用量を守ることが重要です。
歯が生え始めた時期から使用することで、歯の表面のエナメル質が強化され、むし歯になりにくい状態へと整えられます。
特に6歳以降は永久歯が増える時期であるため、1400ppmF以上の歯磨き剤を適切な量で使用することが、むし歯予防において重要とされています。

参照:厚生労働省|健康日本21アクション支援システム~健康づくりサポートネット~「フッ化物配合歯磨剤」 >

水道水に含まれるフッ素とむし歯の関係

フッ素は歯科で塗布するだけでなく、自然界にも存在しており、水道水に微量に含まれている地域もあります。
海外では水道水にフッ素を加えてむし歯予防に活用している国もありますが、日本では人工的な添加は行われておらず、地域によって天然のフッ化物が含まれています。

日本の子どもたちを対象に、生まれてからの健康状態を長期間追跡して調べた研究では、水道水中のフッ化物濃度が約0.4ppmの地域で育った子どもは、むし歯を経験した割合がわずかに少ない傾向が報告されているのです。
この濃度は歯科で使用するフッ素より低いものの、日常的に接触することで歯の再石灰化を助け、むし歯予防に関わる可能性が示されています。

参照:厚生労働省|健康日本21アクション支援システム~健康づくりサポートネット~「水道水フロリデーション」 >

むし歯予防のために、歯科での定期的なフッ素塗布を取り入れましょう

フッ素塗布は、歯質を強化し、むし歯予防に役立つ方法の一つです。
むし歯を防ぎ、大切な歯を守るためにも、定期的なフッ素塗布を取り入れていきましょう。気になる方は、歯科でお口の状態に合わせた予防ケアについてご相談ください。

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